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【論文】捻れたCNFモデルの力学的特長

Irregular and Suppressed Elastic Deformation by a Structural Twist in Cellulose Nanofibre Models
Kojiro Uetani, Takuya Uto, Nozomu Suzuki
Sci. Rep. 2021, 11, 790. (2021年1月12日)
DOI: 10.1038/s41598-020-80890-1

【研究成果のポイント】
● 捻れたセルロースナノファイバーの有限要素モデルで引張・曲げ試験を行い、捻れ構造に由来した弾性変形を特徴づけた。
● 「輪郭の捻れ」と「内部座標の捻れ」を分離して解析したところ、引張変形と曲げ変形それぞれにおいて両捻れ要素が拮抗する作用が判明した。
● 複雑な生体組織の力学機能の解析や高度な機能性材料の設計に役立つと期待される。

【概要】
セルロースナノファイバー(CNF)はその力学特性の高さに期待して高度活用が推進されています。より高度な機能性材料への応用ならびに生体組織の解析のためには、1本のCNFが示す弾性変形応答を知ることが重要です。しかし、CNF固有の捻れた構造に由来する機械的応答性については解析が困難であり、捻れた構造がどのように力学特性に寄与しているのか不明確でした。

大阪大学産業科学研究所の上谷幸治郎助教と名古屋大学大学院工学研究科の鈴木望特任助教、宮崎大学テニュアトラック推進機構の宇都卓也助教の研究チームは、有限要素法シミュレーションを用いて、実際のCNFの断面寸法や力学パラメータを与えた極めて長い「捻れ棒モデル」に対して引張・曲げ試験を行い、捻れ構造に由来する弾性変形応答を明らかにしました。2種類の構造要素(「輪郭の捻れ」と「内部座標の捻れ」)を分離して解析したところ、両者の拮抗作用により不規則な変形応答が抑制的に発現することが判明しました。「輪郭の捻れ」は、引張荷重下で延伸に加えて回転変位を誘発し、変形を不規則な挙動にしますが、回転変位は「内部座標の捻れ」によって抑制されます。一方、曲げ応力下では、モデルの直交異方特性によって生じる”荷重方向とは異なる湾曲変形”を「輪郭の捻れ」が最小限に抑え、湾曲変形の方位を荷重方向と一致させる効果があることがわかりました。この性質は、「輪郭の捻れ」によってモデルの断面二次モーメントが周期的に変化し、全体の湾曲性を均質化するためと考えられます。

CNFモデルの捻れた構造に由来する力学的特長は、より精密に力学物性を制御する材料設計に役立つと期待されます。本研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」電子版に掲載されました。